はじめに:ベランダ菜園を気持ちよく楽しむために
ベランダで緑を育て、収穫を楽しむ時間は、心豊かなひとときですよね。 でも、マンションやアパートなどの集合住宅では、ベランダはご近所さんと隣り合わせの空間です。
楽しくベランダ菜園を続けるためには、ほんの少し、周りの方への「思いやり」を持つことが大切になります。 ここでは、お互いが気持ちよく過ごせるように、ベランダ菜園で気をつけたいポイントをいくつかご紹介しますね。
まず確認しましょう:お住まいのルール
ベランダは、実は「共用部分」であることがほとんどです。「自分のお家の一部」と思っていても、マンション全体のルールが決められています。
- 管理規約をチェック: ベランダで禁止されていること(重いものを置く、たくさんの土を使う、など)がないか、必ず確認しましょう。分からないことは、管理人さんや管理会社に尋ねてみると安心です。
- 避難経路は塞がないで: ベランダにある、お隣との仕切り板や、床にある避難用のハッチ(蓋)の周りには、絶対に物を置かないようにしましょう。いざという時の大切な通路です。
気をつけたい!具体的な配慮ポイント
日々の作業の中で、ちょっとした気配りを心がけたい点です。
- お水やりでの配慮
- お水が下の階に垂れたり、お隣の洗濯物にかかったりしないように、プランターには必ず受け皿を使いましょう。
- ジョウロの先を株元に近づけて、そっとお水をあげるように心がけると、水はねを防げます。
- ベランダの排水溝は、土や葉で詰まらないように、こまめにお掃除したいですね。
- 【水受け皿と、ちょっとした工夫】
- 以前、プランターラックなどを使って少し高い位置に鉢を置いていた時期がありました。その下に水受け皿を設置したのですが、水やりの後、水が受け皿にポタポタと落ちる音が意外と響いて気になった経験があります。
- また、受け皿に水が溜まったままだと、ボウフラ(蚊の幼虫)が発生する心配もありますよね。(蚊は、ごくわずかな水たまりでも卵を産むことがあると言われています…!)
- そこで私は、まず鉢をラックから下ろし、床(または低い位置)に直接置くようにしました。これだけでポタポタ音の悩みは解消されました。
- さらに、水受け皿を使わない代わりに別の工夫として、**「不織布(ふしょくふ)」**を活用することにしたのです。
- 具体的には、栽培が終わったプランターや、土作りのために土を寝かせている鉢などの上から、すっぽりと不織布を被せておくのです。(※風で飛ばないように、必要であれば紐などで軽く固定します)
- この方法の良い点は、まず土の表面を覆うことで、土への虫の侵入を防げることです。そして、土の急激な乾燥を緩やかにしてくれる効果もあります。適度な湿度が保たれるので、土を良い状態に保ちやすいと感じています。
- 結果的に、水受け皿を使わないので、受け皿に水が溜まることによるボウフラ発生の心配もなくなりました。もし、鉢の置き場所や水の管理で似たようなお悩みがあれば、こんな方法も参考になるかもしれません。
- 直接鉢の下に水受け皿を置く場合は、表面に水が貯まらず溜まった水が見えない仕様の貯水皿付き 鉢受け皿 もあります。水は下部の排水トレイに溜まる仕組みです。
排水トレイを引き出せば、簡単に排水を取り出して捨てることができます。
- 土や葉っぱ、ゴミのこと
- 乾いた土や枯れ葉が風で飛んで、ご近所のベランダに入ってしまうことがあります。土の表面を資材などで覆う(マルチング)と、、土の飛散防止や乾燥防止に効果的。ベランダ菜園では強風で飛びやすいバークチップやヤシガラなどよりも不織布・ビニール性のシートなどが有効。
- 枯れた葉や使い終わった土の袋などをベランダに置いたままにせず、いつもきれいにしておくことを意識すると、見た目も気持ちが良いですね。
- 虫のこと
- 植物を育てていると、どうしても虫がつくことがあります。こまめに葉の裏などをチェックして、早めに対処しましょう。
- 薬剤を使う場合は、風のない日を選んだり、周囲に飛び散らないように注意したり、できるだけ影響の少ないものを選ぶなどの配慮ができると素敵です。
- 肥料などの匂い
- 有機肥料など、種類によっては匂いが気になるものもあります。匂いの少ないタイプを選んだり、土に混ぜ込むようにして使うと良いでしょう。
- プランターなどの落下防止
- ベランダの手すりにプランターを掛ける場合は、内側に設置し、しっかりと固定しましょう。外側に掛けるのは大変危険ですし、規約で禁止されている場合がほとんどです。
- 台風や強風の予報が出ている時は、プランターを床に下ろしたり、室内に移動させると安心です。
日頃からのコミュニケーションも大切に
難しく考える必要はありませんが、普段からご近所の方と挨拶を交わすなど、良好な関係を築いておくことも、お互いが気持ちよく過ごすための潤滑油になります。
もしもの時には…
どんなに気をつけていても、うっかり、ということもありますよね。
実は私自身も、以前、台風が過ぎ去った後にベランダを片付けていた時のこと。軒下に置いていた袋のくぼみに雨水がたまっていたようで、それが排水溝を通って、お隣のベランダにまとまって流れ出てしまったことがありました。 すぐに丁重にお詫びに伺いましたが、その時、「普段からもっと注意深くならなければ」と、改めて気を引き締めました。
このように、もしご迷惑をかけてしまったかもしれないと感じた時は、素直に謝る気持ちと、誠実な対応が大切だと思います。
おわりに:思いやりを大切に、素敵な菜園ライフを
ベランダ菜園は、ルールとマナーを守り、周りの方への少しの思いやりを持てば、長く楽しめる素晴らしい趣味です。 ここでご紹介したポイントや私の経験談が、皆さまの心地よいベランダ菜園ライフのヒントになれば、とても嬉しく思います。