アブラムシ・ハダニ・青虫・コガネムシ【害虫】効果的な対策と益虫

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虫に食害された葉

ベランダ菜園を楽しんでいる方にとって、避けて通れない悩みが「虫・害虫」の存在ではないでしょうか。大切に育ててきた野菜やハーブが、ある日突然虫に食い荒らされていたり、アブラムシびっしりになっていたり…。

皆さまは「リトル・フォレスト」という映画をご覧になったことはありますか。
普段は畑で作物を育てている主人公のお母さんが、外出中にモンシロチョウを手で「パチン」と捕まえるシーンがありました。私も子供と一緒に見ていてちょっとびっくりしました。
残酷だと感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも、自分で野菜を育てていると、子供の言葉を借りればあの行動に「わかりみが深い」と感じます。
それはまさに、私たちの「食べる」という生きる活動が、他の生き物の命の上に成り立っていることを痛感する瞬間なのかもしれません。

ベランダという限られた空間だからこそ、私たちは大切な作物を守るために、工夫を凝らす必要があります。今回は、多くのベランダ菜園家が悩まされる主な害虫とその対策、そして見守りたい益虫について、詳しくご紹介します。

目次

ベランダ菜園で特に要注意!主な害虫とその特徴

まずは、ベランダ菜園でよく見かける代表的な害虫とその特徴を知っておきましょう。

  • アブラムシ・ハダニ: 体長1mm以下の非常に小さな虫ですが、驚異的な繁殖力であっという間に増殖します。葉や茎から植物の汁を吸い、生育を著しく阻害します。新芽やつぼみなど、柔らかい部分につきやすいのが特徴です。放置するとすす病などを併発させることもあります。
  • コガネムシ: 成虫は葉や花を食害しますが、厄介なのはその幼虫です。土の中に潜み、植物の根を食い荒らします。気づいた時には株がぐったり…ということも少なくありません。産卵のために飛来するので、成虫を見かけたら注意が必要です。
  • 芋虫系(チョウやガの幼虫など): キャベツにつくアオムシ(モンシロチョウの幼虫)や、葉物野菜を食害するヨトウムシなど、様々な種類がいます。食欲旺盛で、気づいた時には葉っぱが丸坊主…なんてことも。
  • カメムシ: 独特の形をしており、刺激すると強い匂いを発します。植物の汁を吸いますが、ベランダでは洗濯物に付いていたり、窓から部屋に入ってきたりと、不快害虫としての側面も強いかもしれません。前の家のベランダでは、防虫ネットや柵の上などにまるで「主(ぬし)」のようにじっとしているカメムシを見て、びっくりしたことがあります。
  • ウリハムシ: 名前の通り、キュウリやナス、カボチャなどのウリ科植物の葉を食害します。オレンジ色で動きが素早いです。以前キュウリを育てていた時についたことがありますが、量が少なかったのか、食害跡や汁を吸われた跡もそれほど目立たず、それほど気にならなかった経験があります。これはもしかすると、細目の防虫ネットをかけていたおかげかもしれません。
  • その他: ナメクジ、バッタ、コオロギ、センチュウ、ゴキブリなど、ベランダにも様々な虫がやってくる可能性があります。中には植物を食害するものもいるので、日頃の観察が重要ですし、ゴキブリは不快害虫として対策を考える方もいるでしょう。

物理的な防御策:防虫ネット・不織布を使いこなす

外部からの害虫の侵入を物理的に防ぐのは、最も効果的で安全な方法の一つです。
鳥害などの対策にもなります。
ベランダ菜園では、プランター全体をネットや不織布で覆ってしまうのがおすすめです。

1. 目の細かい防虫ネット(0.25mm以下推奨)

特にアブラムシやハダニのような微小な害虫の侵入を防ぐのに有効です。様々な細かさのネットが販売されていますが、ホームセンターなどでの扱いは、アブラムシ対策用には1mmが一般的のようです。網目0.4mmはネット販売店などで取り扱っている場合が多いようです。

私は細目0.25mmという非常に細かい網目のものを愛用しています。
1mmのものは、アブラムシの侵入は防ぎきれませんでした。また蝶々や蛾などにネットの網目の外から卵を産みつけられることもあるようです。材質も硬めでベランダでは収納時にも嵩をとりました。畑ではしっかりしていて、取り扱いやすいと思います。

  • メリット:
    • 防虫効果が非常に高い: 目の細かさで、アブラムシやハダニなど小さな害虫の侵入を強力に防ぐ。コガネムシやバッタなど、比較的大きな虫の飛来もシャットアウト可能。
    • ネットをかけたまま上から水やりOK、光をよく通す(高い透光率)、通気性が良い、洗って繰り返し使えるといった、一般的な防虫ネットのメリットも持ち合わせている。
    • 柔らかく加工しやすい:ハサミで簡単に切ったり、折りたたみ、ホチキスで止めて袋状にしたりと、プランターの形に合わせて加工しやすい。とてもしなやか。
  • デメリット:
    • 価格が高い: 目の細かいものほど価格が高くなる傾向。
    • 破けやすい: 薄手のものが多く、支柱の先端などで引っ掛けたりすると破れてしまうことがある。丁寧な扱いが必要。
    • ハダニまでは防除しずらい:ハダニなど小さい虫がつくことがある。

一度使うと手放せない効果を実感:価格は高めですが、一度この目の細かさのネットを使うと、その防虫効果の高さから、これなしではベランダ菜園が難しく感じるほど手放せなくなりました。他の網目のネットでは物足りなく感じてしまうかもしれません。

ハダニは完璧には防げないことも: 残念ながら、これほど目の細かい0.25mmのネットを使っていても、ハダニはどこからか付いてしまうことがあります。ハダニは、その小ささや、風に乗って飛来することなどから、完全に防ぐのは非常に難しい害虫だと感じています。

2. 不織布(べたがけシートなど)

繊維を絡み合わせてシート状にしたもので、防虫目的でもよく使われます。防虫ネットと同様に柔らかく加工しやすいのが特徴です。

  • メリット:
    • 防虫効果: アブラムシはもちろん、比較的目の細かいものならハダニの侵入も防ぐ効果が期待できる。コガネムシなどの大きな虫も防ぐ。
    • 保温・保湿効果: 防虫以外にも、温度や湿度を一定に保つ効果がある。
    • 水やりOK: 上から水やりができる。
    • 光を通す: 防虫ネットよりは透光率はやや下がるが、十分な光を通す。
    • 遮光効果: 遮光ネットほどではないが、多少の遮光効果も期待できる。
    • 洗って繰り返し使える: 布のように扱え、洗って再利用可能。
    • 部分的に破って使える: 苺など、特定の苗だけ植え付けたい場合や、成長に合わせて部分的に開放したい場合に、ハサミなどで切り込みを入れて使うことも可能。
    • べたがけできる:葉野菜など苗が小さいうちから、場合によっては収穫まで、特に支柱などを設置することなく直接野菜の上にかけられる。
    • 100円ショップでも手に入れやすい。
  • デメリット:
    • 防虫ネットより破れやすい: 薄手のものは、支柱の先端などで破れてしまうことがある。
    • 通気性: 防虫ネットに比べるとやや通気性が劣る場合がある。

防虫ネット・不織布の上手な使い方

せっかくネットや不織布を張っても、隙間があるとそこから虫が侵入してしまいます。プランターの縁や、シートの合わせ目などは洗濯ばさみやピンチなどでしっかりと固定し、隙間を作らないように注意しましょう。プランターのサイズに合った支柱でトンネルを作るように覆うのが一般的です。

コオロギが犯人⁉︎:上からだけでなく、下からの侵入も防ぐ

美声の犯人:夜盗虫だけではない!?夜に葉を食べる虫

ベランダ菜園では、上から飛んでくる虫だけでなく、鉢底の隙間やプランターの下側から忍び込んでくる虫もいます。

特に、種まき後、楽しみにしていた新芽が翌日には跡形もなく消えていた…そんな悲しい経験はありませんか?畑でよく聞く夜盗虫やネキリムシ、ナメクジが犯人であることも多いですが、ベランダではなかなか見かけない…。

私の経験では、夏の終わりから秋にかけての夜に聞こえるあの虫の声、コオロギが犯人だった可能性が高いと感じています。彼らは夜行性で新芽を好んで食べ、鉢底の隙間などから簡単に侵入してしまうことがあります。

そこで有効なのが、上を防虫ネットで覆うだけでなく、下からの侵入も物理的に防ぐ対策です。

育苗ポットを入れているトレイや、プランターの底に、鉢底ネットや台所用の水切りネットのようなものを敷いたり、側面から下まも防虫ネットをかぶせ、紐と洗濯バサミを合わせてきっちりと留めるなどして、物理的に虫が下から入れないように工夫しました。

この対策を試したところ、それまで悩まされていた新芽が消える被害が見られなくなりました。

それでも、虫がついてしまったら

日頃のお世話こまめにして植物を健康に育てることで、虫がつきにくい強い株になります。また、虫が嫌がるものや、特定の虫に効果のある自然由来の成分を使うのも一つの手です。

害虫忌避剤」私はこれを使っています!特定の害虫に効果

トマトやピーマンなど、大きくなる作物でネットをかけづらい場合や、発生してしまった害虫にピンポイントで対処したい場合に、自然由来の成分を使ったスプレータイプの殺虫剤も有効な選択肢となります。

薬剤のについての考え方は様々ですが、食品由来・有機栽培でも使用OK・家族が食べて安心かどうかという観点から、次の防除剤を用法容量を守って適切に使用することにしています。

使用後、アブラムシやハダニ・蝶や蛾の芋虫にはっきりと効果を感じるようになり、続けています。

またこれらの害虫の発生は、夏の暑い時期に重なることが多いです。これらを夕方の日が落ちる頃に散布します。エアコンの熱風の灼熱地獄?の中でのベランダ作業が激減し、体力を消耗することなく助かっています。夏のお世話は最低限、追肥を含めた水やりと収穫に集中できます。

アブラムシ・ハダニ対策:「アーリーセーフ」(住友化学園芸)

アブラムシハダニうどんこ病に特化。
脂肪酸グリセリドを主成分とする製品です。
アブラムシやハダニこれらの成分は、害虫の体表面を覆って窒息させたり、細胞を破壊したりすることで効果を発揮します。
化学合成農薬に抵抗がある方でも比較的使いやすい、自然由来の成分になります。
有機JAS規格(※1)にも適合している製品です。

アブラムシやハダニに「良く効いた」という声も聞かれます。

  • 特徴:野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミ、うどんこ病の防除に効果的です。天然物(ヤシ油)由来の有効成分で、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です。
  • 農林水産省登録:第21767号(※2)
  • 剤型:乳剤
  • 毒劇区分:普通物
  • 容量:100ml
  • 有効成分:脂肪酸グリセリド

芋虫系の対策:「STゼンターリ顆粒水和剤」 (住友化学園芸)


特定の芋虫(チョウやガの幼虫)に効果を発揮するのが、バチルスチューリンゲス菌(BT菌) を含む製品です。
BT菌は自然界にも存在する微生物で、これを食べた芋虫は消化管が麻痺してやがて死に至ります。
昔盛んに行われていた養蚕業において、蚕の病気の原因を研究する過程で発見されたものです。(※3)(※4)
人体や天敵には影響が少なく、有機JAS規格にも適合している製品です。
トマトやピーマンなど、葉を食べるタイプの芋虫被害が多い作物におすすめです。

  • 特徴:野菜類・果樹類・いも類・豆類に収穫前日まで使用できます。天然成分を使用し、環境への影響も少なく、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です。
  • 農林水産省登録:第21734号(※5)
  • 剤型:水和剤
  • 毒劇区分:普通物
  • 容量:20g
  • 有効成分:バチルスチューリンゲンシス菌の生芽胞・産生結晶毒素

コガネムシの幼虫にはコレ!:土壌の「熱湯消毒」とその他の方法

土の中に潜む害虫の卵や幼虫、病原菌をリセットすることも重要です。

栽培後の熱湯消毒

作物の栽培が終わった後の土は、害虫の卵や幼虫、センチュウなどが潜んでいる可能性があります。これらの土を再利用する前に、熱湯消毒を行うのが効果的です。

特に厄介なのはコガネムシの幼虫で、有機JASで認可されている薬剤は現在無いようです。


一般的な方法: 使用済みの土をポリ袋などに入れ、熱湯や水分をかけてよく混ぜ、袋の口を閉じて直射日光の当たるコンクリートの上などに、数日間置いておきます。土が完全に冷めたら、さらに日光に当てたりして乾燥乾燥させます。センチュウ対策にも有効です。

私が行なっている方法:プランターで熱湯消毒

もし防虫ネットをかけて栽培していた場合は、ほとんど土の中に害虫は入り込んでいない可能性が高いです。この場合は、全ての土を熱湯消毒する必要はなく、ネットをかけられなかった鉢の土だけを消毒するなど、範囲を限定すれば熱湯消毒の労力を大幅に減らすことができます。

詳しい熱湯消毒の方法については、別の記事で詳しくご紹介していますので、こちらも参考にしてください。

ニームについて:コガネムシの幼虫との戦い

ニームは、インド原産の常緑樹で、その種子から抽出される成分には虫を寄せ付けない忌避効果や、虫の成長を阻害する効果があると言われています。天然由来ということで、家庭菜園での利用を考える方も多いでしょう。

私のベランダ菜園は、コガネムシの幼虫をいかに攻略するか?でもありました。
その中で、「ニーム」というものがあると知りました。
最初はアブラムシ対策に、その後コガネムシの幼虫対策にもなると知って使用してみました。以下はその感想です。

ニームを使った経験談(例)

スプレー:
ニームオイルなどを希釈して葉にスプレーする方法もあります。しかし、ニーム独特の「匂いが強い」という特徴があります。

特にマンションのベランダのような狭い空間では、その匂いが「ご近所に迷惑」になる可能性も考えられます。使用する際は、時間帯や風向きに十分な配慮が必要です。

私もアブラムシ対策において、またトマトのツルが割れた時などに吹きかけて、一定の効果を感じることはできました。
しかし我が家は集合住宅住まいなので、自分自身は使用時に耐えられたとしても、例えばお隣が窓を開放している場合などは時間も含めて考慮しなければならず、使用方法は少し難しいなと感じました。

現在は、嫌な匂いを感じないシトロネラなどの成分が入った商品も販売されています。


堆肥など:
ニーム成分を含んだ堆肥。袋にも「幼虫、ダメ。絶対」のようなマークが大きく印刷されているものもあります。
私も大いに期待して何回か投入を試みたのですが、栽培後の土の中から幼虫さんが「こんにちは」してきて「またか!」と残念な気持ちになることも何回か…。そんなこともあり、現在はプランターでの熱湯消毒に至っています。

ニームの成分には、虫の食欲減退作用があり、その後も使用を継続していれば、の脱皮などの変体・生育を阻害する効果が発揮されていたかもしれません。

このようにニーム入り堆肥は、コガネムシの幼虫対策としては、即効性や完全に防ぐ効果は感じにくい方もいられるでしょう。けれども堆肥としてはとても効果があり、栽培途中に増し土をした、きゅうり・なすの実がその後よくできるという嬉しい成果もありました。

ニームは「とても良い」と言われている方も多く、効果も期待されています。一方で、匂いの問題や、全ての害虫に劇的な効果があるわけではない、と感じる点もあります。防虫ネットなど他の対策と組み合わせる補助的なものとして考えても良いでしょう。

センチュウ対策としてのマリーゴールド

センチュウは土中に生息し、植物の根に寄生して生育を阻害する微小な生物です。マリーゴールドにはセンチュウを抑制する効果があると言われています。

畑などで作物の間に混植するのは一般的な方法ですが、狭いベランダのプランターでは、一緒に植えると野菜の生育スペースを圧迫してしまうことがあります。

現実的な方法としては、野菜の栽培が終わった後の土に、別の鉢で育てておいたマリーゴールドを枯らして土にすき込んだり、マリーゴールドを植えてしばらく土を休ませてから次の野菜を育てる、といった方法が考えられます。

ベランダ菜園での現実
我が家の狭いベランダ菜園では、マリーゴールドを育てる分のスペースは、実際に食べられる他の野菜のプランターの置き場所に回したい。という観点から実践できていません。
もしも、もっとスペースがあったら、えん麦など他の緑肥も含めて試してみたいところです。

主な害虫別 具体的な対策のまとめ

ここまでご紹介した対策を踏まえ、特に被害の多いアブラムシ・ハダニ、コガネムシ、そして芋虫系への具体的な対策をまとめます。

アブラムシ・ハダニ対策

最も効果的なのは、物理的な防御です。

  • 目の細かい防虫ネット(0.4mm以下推奨)不織布 を使って、そもそもベランダへの侵入を防ぐのがベストです。プランター全体を隙間なく覆いましょう。
  • もし付いてしまったら、数が少ないうちに早期発見・初期対応が肝心です。見つけ次第、ガムテープなどで取り除く、歯ブラシでこすり落とす、勢いのある水で洗い流す、といった方法で物理的に駆除します。
  • 「アーリーセーフ」のような自然由来の成分を使った殺虫剤も、発生初期に効果が期待できます。製品の説明をよく読み、適切に使用しましょう。
  • 大量発生してしまった場合は、家庭菜園用の薬剤の使用も検討できますが、マンションベランダでは安全性の高いものを選び、使用方法や近隣への配慮を十分に行いましょう。

芋虫系対策

  • 物理的な防御として、可能な場合は防虫ネットで覆うのが最も効果的です。
  • トマトやピーマンなど、ネットがかけづらい作物で発生した場合は、見つけ次第手で取り除くのが最も直接的な方法です。
  • 「STゼンターリ顆粒水和剤」 :手で取り除くのが難しい場合や、広範囲に発生した場合は、BT剤を含む自然由来の殺虫剤が有効です。製品の指示に従って使用しましょう。
  • 日頃から葉の裏などをよく観察し、卵や若い幼虫のうちに発見・除去することが大切です。

コガネムシ対策

成虫と幼虫で対策が異なります。

  • 成虫対策: 飛んできて葉を食害する成虫は、見つけ次第捕殺するのが一番確実です。 目の細かい防虫ネットや不織布で覆うことで、飛来して産卵するのを防ぐ効果も期待できます。
  • 幼虫対策: 土の中に潜む幼虫は厄介です。 栽培後の熱湯消毒は、土中の幼虫や卵を駆除するのに非常に有効です。 ニーム堆肥も試す価値はありますが、完全に防ぐのは難しいかもしれません。 幼虫を見つけたら取り除くしかありません。植え替えなどで土をチェックする際に注意しましょう。
  • 残念ながら、現時点では有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能な「これがあればOK!」という薬剤はありません。

見守りたい!ベランダに来る益虫たち

ベランダには、大切な野菜を守る手助けをしてくれる「益虫」もやってきます。全ての虫を排除するのではなく、益虫を見守り、畑の小さな生態系を豊かにすることも、自然の力を借りた虫対策と言えるかもしれません。

害虫を食べる益虫の種類

野菜や園芸植物を守るうえで、害虫を捕食してくれる「益虫」はとても重要な存在です。

テントウムシ: 子どもにもおなじみのテントウムシ。アブラムシを食べてくれる益虫として非常に有名です。成虫も幼虫もアブラムシを食べてくれます。見つけたら大切にしましょう。

クモ: ベランダの隅などで巣を張っているクモは、小さな飛翔昆虫を捕食してくれる益虫です。昔からクモは縁起が良いとされていました。私の祖母も「朝蜘蛛は縁起が良い」と言って、午前中に見つけたクモをふんわりと手でつかみ、まるで胸元や袖のたもとに入れるかのように大切にする様子を見たことがあります。
クモはむやみに殺さず、そっと見守ってあげましょう。


このほかにも、害虫を食べてくれるカマキリなどがいます。主な益虫とその特徴は以下の通りです。

代表的な益虫と捕食対象

益虫の名前主な捕食対象や特徴
テントウムシアブラムシ、ハダニ、カイガラムシなどを幼虫・成虫ともによく食べる。
クモアブラムシ、ハエ、ガ、コバエなど幅広い害虫を網や直接捕食で退治。
カマキリアブラムシ、イモムシ、バッタ、コオロギ、カメムシなど多様な害虫を捕食。
トンボ(ヤゴ含む)幼虫(ヤゴ)はボウフラ、成虫は小型昆虫などさまざまな害虫を捕食。
ヒラタアブ(幼虫)アブラムシを主に捕食。
クサカゲロウ(幼虫)アブラムシやカイガラムシなどを捕食。
ゴミムシヨトウムシ、コナガ、チョウ・ガの幼虫など多様な害虫を捕食。
アブラバチ・コマユバチアブラムシやアオムシなどの体内に卵を産み付け、幼虫が内部から害虫を食べる。
ゲジ(ゲジゲジ)ゴキブリなどの不快害虫を捕食。
カエル虫全般を捕食し、畑や水田での害虫抑制に貢献。

その他の益虫

  • ミツバチ:害虫を食べるのではなく、受粉を助けることで間接的に作物を守る。
  • ミミズ:土壌改良に役立ち、間接的に植物の健康を保つ。

注意点

要注意!テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)
テントウムシの中には、主にナス科野菜の葉を食べる害虫もいます。代表的なのが「ニジュウヤホシテントウ」、通称「テントウムシダマシ」です。見た目はテントウムシに似ていますが、体の模様(星の数)が違ったり、表面につやがなかったりするのが特徴です。葉を網目状に食害するので、もし葉にこのような食害跡があり、近くにテントウムシに似た虫がいたら、それがテントウムシダマシかもしれません。

  • 一部の益虫(カマキリやクモなど)は、益虫同士や無差別に昆虫を捕食する場合もあるため、バランスが重要です。

まとめ
害虫を食べる主な益虫には、テントウムシ、クモ、カマキリ、トンボ、ヒラタアブやクサカゲロウの幼虫、ゴミムシ、アブラバチ・コマユバチ、ゲジなどがいます。これらの益虫を活かすことで、農薬に頼らない害虫防除が期待できます。

日頃の観察が成功の鍵

どんなに完璧な対策をしても、全ての虫の侵入を100%防ぐのは難しいかもしれません。しかし、早期に害虫を発見し、すぐに対処することで、被害を最小限に抑えることができます。

毎日の水やりなどの際に、植物の葉の裏や茎などをこまめにチェックする習慣をつけましょう。「あれ?なんか変だな」という小さな異変に気づくことが、害虫被害を拡大させないための何よりのコツです。

とは言っても、ベランダの様子だけに時間を割くことは難しいのが現実です。
そして「リトルフォレスト」のお母さんのように「テデトール」(手で取る)、またはアシデフーム(足で踏む)などの必殺技は、いくら心を鬼にしても私にはできず…(泣)。

皆さまにも今までご紹介した方法をを利用していただき、ご自身の時間や体力の消耗を減らす工夫の一案にしていただければ嬉しいです。

おわりに

ベランダ菜園での虫・害虫対策は、一つだけでなく複数の方法を組み合わせることが成功への近道です。

特に物理的な防御である防虫ネットや不織布は、手軽で安全性が高く、多くのアブラムシやコガネムシの侵入を防ぐのに非常に有効です。
そしてコガネムシの幼虫には、熱による対策が一番有効でした。
また、トマトやピーマンのような作物には、BT剤のような特定の害虫に効果のある自然由来のスプレーを上手に活用するのも良い方法です。

物理的な防御、土壌からのケア、そしていざという時の対処法を準備しておきましょう。
そして、害虫だけでなく、ベランダにやってくる益虫たちにも目を向けてみてください。

今回ご紹介した情報が、皆さまのベランダ菜園での虫対策の一助となり、安心して植物を育て、収穫の喜びを味わうことに繋がりましたら幸いです。

害虫被害を乗り越えて:私のピーマン奮闘記

コラム

どんなに気をつけていても、時には大きな害虫に遭遇することもあります。

初めてピーマンを育てた時のことです。

すくすくと育っていたピーマンの葉に、なんとはらぺこあおむし並み、いやそれ以上の超特大の青虫が付いているのを発見!思わず「うわぁ!」と声が出てしまうほどでした。
おそらく、オオタバコガの幼虫だと思われます。正直、自分では触る勇気がなく、夫に割り箸で取ってもらいました。

初めてのピーマン栽培で、この特大青虫には驚かされましたが、幸いにも他の被害は少なく、その後もたくさんのピーマンを収穫することができました。
害虫にびっくりしても、適切な対処をすれば、豊作に繋がることもあるんだな、と実感した経験でした。

参考文献

(※1)農林水産省ホームページ:有機JASについて教えてください。
(※2)農林水産省農薬登録情報提供システム:アーリーセーフ
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis, Bt)
(※3)農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターホームページ:Bacillus thuringiensis
(※4)日本植物防疫協会センターホームページ:BT製剤利用研究の現状と展望
(※5)農林水産省農薬登録情報提供システム:ゼンターリ顆粒水和剤

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