「もっと美味しい野菜を収穫するために、何か方法はないかな」
ベランダで野菜を育てている中で、このように思うことはありませんか?
そんな時は、「ぼかし肥料」を手作りするのはいかがでしょうか。
実は、日本には古くから身近な資源を土に還す知恵がありました。現代のベランダという限られた環境こそ、そうした再利用の工夫が活きる場所です。
- でも、自家製は失敗しそう…
- 有機肥料は、ニオイや虫が気になって
- 家のベランダは狭いし、管理も大変そう…
マンションなどの限られた空間では近隣への配慮もあり、このように肥料作りはハードルが高く感じられるものです。
私自身も、長年ベランダでの栽培を続ける中で、数多くの失敗と工夫を重ねてきました。
その結果たどり着いたのが、空気に触れさせずに発酵させる嫌気性(けんきせい)発酵という手法です。
本記事では、米ぬかと水という最小限の材料を袋に詰め、あとは3ヶ月間置いておくだけで作れるぼかし肥料の全手順を詳しく紹介します。
毎日のかき混ぜという手間をかけず、ニオイを封じ込めたままぼかし肥料を完成させる具体的なコツも分かります。
この記事を読むと、家にあるものを活用したぼかし肥料で、味のよい野菜を作ることができます。
手作りの肥料で栄養たっぷりの土づくりをして、野菜をおいしく元気に育てる喜びを、ぜひ今日から体験してください。
目次から好きな項目にジャンプして読むことができます。画面右下のマークで、記事上部に戻ります。
ぼかし肥料とは?「肥料」と「堆肥」の中間的存在
ぼかし肥料とは、有機物をあらかじめ発酵させて、肥料としてすぐ使える状態にしたものです。
肥料は「野菜を育てる栄養」、堆肥は「土を育てる微生物の家」。
この考え方については、プランターで堆肥を作る方法を紹介した記事でも触れています。
今回ご紹介するぼかし肥料は、肥料と堆肥、それぞれの良さをあわせ持つ「中間的な存在」です。
素材は堆肥、中身は肥料
ぼかし肥料の主な材料は、米ぬかなどの有機物です。
これらは本来、堆肥づくりに使われる、土にやさしい素材です。
ただし、そのまま土に入れると、野菜が栄養として利用できるまでに時間がかかります。
また成分によっては、野菜の成長を阻害することも。
そこで、微生物の力であらかじめ発酵分解させ、すぐに使える状態にしておくことで、堆肥のような優しさを持ちながら、肥料としてすぐ効く力を持たせたものが、ぼかし肥料です。
ぼかし肥料が使いやすい理由
ぼかし肥料の特徴は、次の3つです。
- 効きが早い
- 効果が続く
- 栄養補給と土づくりを同時にできる
①効きが早い
すでに発酵が進んでいるため、土に入れるとすぐに野菜が吸収できる栄養として働きます。市販の肥料に近い即効性があるのが特長です。
②効果が続く
一度で効き終わるのではなく、時間をかけてゆっくりと栄養が供給されるため、肥料切れを起こしにくくなります。
③栄養補給と土づくりを同時にできる
主原料は米ぬかなどの有機物です。野菜に栄養を与えたあとも、土の中の微生物の餌(えさ)として残り、土そのものを育てる働きを続けます。肥料と堆肥、両方の役割を兼ね備えているのが、ぼかし肥料の大きな魅力です。
※作った肥料を配布・販売することは、肥料の品質の確保等に関する法律(通称「肥料法」)により登録・届出が必要になる場合があります。
Q & A
生産した肥料は無償で配布しているものですが、この場合でも登録や届出が必要ですか。
(答)生産や輸入した肥料を、反覆継続して他者に引き渡すのであれば、有償、無償を問わず、登録や届出が必要になります。
豆知識:「ぼかし肥料」という名前の由来(タップして開閉できます)
実はこの「ぼかし」という言葉、現在は「BOKASHI」として世界共通の園芸用語にもなっています。名前の由来には、いくつかの説があります。
- 強さをぼかす
江戸時代の農家が、し尿(人間の排泄物)や糞尿(家畜の排泄物)などの強すぎる肥料成分を土などで薄め、効き方を穏やかにして使ったことに由来するという説。 - 姿をぼかす
発酵が進むにつれて、元の素材の形が崩れ、見た目が分からなくなることから名付けられたという説。
日本古来の知恵が、今では世界中のサステナブルな菜園で活かされています。
ぼかし肥料の材料:基本は2つだけ!米ぬかと水
ぼかし肥料の基本の材料は2つ、米ぬかと水があれば作れます。
実は、ぼかし肥料には「これが正解」という決まった材料や分量、作り方があるわけではありません。もともとは、農家さんや地域ごとに、手に入りやすい素材を使いながら、経験に合わせて工夫されてきた肥料です。
ここでは、いろいろな作り方の中から、作りやすい一例として、私の作り方をご紹介します。
- 米ぬか
- 水
1.米ぬか(リン酸:実や花を充実させる)

ぼかし肥料の中心になる材料です。
リン酸を多く含み、花や実をつける野菜の生育を助けます。
お米屋さんで購入できるほか、コイン精米所で無料でもらえることもあります。
市販の生ぬかや炒りぬかでも問題ありませんが、塩などの調味料が入っていないものを選びましょう。
ホームセンターなどで売られている「脱脂米ぬか」もあります。油分がない分、水分を吸いやすく発酵がスピーディーに進みます。
米ぬかを直にまくのはNG
米ぬかをそのまま土にまくと、分解の過程でガスや熱が発生し、根を傷める原因になります。
さらに、微生物が栄養を分解する過程で土の中の窒素を奪い、植物が栄養不足になる「窒素飢餓」を引き起こすリスクもあります。
発酵させてから使うようにします。
水(発酵を進めるために必要)

微生物が活動するために欠かせないのが水分です。
目安は、材料全体の重さの40〜50%程度。
多すぎると腐敗し、少なすぎると発酵が進みません。
全体がしっとりとまとまる程度を意識すると、発酵が安定します。
あると良い資材:お好みの配合で!
以下の材料などを混ぜることで、米ぬか(リン酸)に加えて、肥料の三要素(窒素・リン酸・カリ)をお好みのバランスで配合したぼかし肥料を作ることができます。
- コーヒーカス(窒素・消臭)
- 出し殻(魚粉・旨みアミノ酸)
- もみ殻
- もみ殻くん炭
- 草木灰
など
コーヒーかす(窒素・消臭)

コーヒーかすは、窒素分を補うだけでなく、発酵中のニオイを抑える働きがあります。
多孔質な構造が微生物の住処になり、発酵を助ける点も特徴です。
毎日コーヒーを飲む方には、ぜひ入れていただきたい資材です。
白い米ぬかの中で黒いコーヒーかすが混ざることで、かき混ぜ具合が視覚的に分かりやすくなるというメリットもあります。
- ニオイの吸着効果 (脱臭)
- 微生物の「家(すみか)」
- 水分と肥料分の保持(保水性・保肥性)
- 土をふかふかにする(団粒構造)
1. ニオイの吸着効果(脱臭)
アンモニアなどのニオイ成分を吸着する力は、活性炭の数倍と言われています。発酵中の独特なニオイを抑えてくれるため、ベランダ菜園の強い味方になります。
2. 微生物の「家(すみか)」になる
多孔質(細かい穴が無数に開いている構造)が、微生物にとっての住み家になります。
- 穴の中に微生物が入り込むことで、外敵や乾燥から守られ、効率よく増殖
- コーヒーかすを入れることで「微生物のマンション」を土の中に建設するイメージ
3. 水分と肥料分の保持(保水性・保肥性)
細かい穴がスポンジのように水分や肥料成分を蓄えてくれます。
- 保水性: 土が乾きすぎるのを防ぎます。
- 保肥性: 肥料成分が雨や水やりで流れ出るのを防ぎ、植物にゆっくりと栄養を届けます。
4. 土をふかふかにする(団粒構造の促進)
コーヒーかすが土に混ざることで物理的に隙間ができ、排水性と通気性が向上します。これにより、根が呼吸しやすくなり、根張りの良い植物が育ちます。
土の中に適度な隙間を作ることで、通気性と排水性が向上します。
根が呼吸しやすくなり、根張りの良い丈夫な植物が育つ土壌を作ります。
コーヒーかすは直に土にまかない
コーヒーかすには植物の成長を妨げる成分(タンニン・カフェインなど)が含まれており、未発酵のまま使うと生育を妨げる成分が作用します。
ぼかし肥料として発酵させてから使いましょう。
出汁がら(魚粉:旨みと甘味をアップ)

料理で出しをとった後の煮干しやかつお節の粉末などは、実は最高級の肥料原料です。
アミノ酸やミネラルが豊富で、野菜の旨みや甘味をグンと引き出してくれます。
市販の魚粉肥料はニオイが強いものが多いですが、ぼかし肥料として発酵させてしまえば、ニオイもぼかされその恩恵をうけることができます。
もみ殻
お米を精米するときに出る、外側の皮の部分です。
軽くて硬い形状のため、土の中に物理的なすき間を作ります。
分解が非常にゆっくりで、通気性と排水性を長く保ち、根が呼吸しやすい環境を整えます。
もみ殻くん炭
もみ殻を炭化したもので、もみ殻の「すき間づくり」に加え、多孔質構造による微生物の住処になります。
さらにカリ成分も含み、土づくりと栄養補給を同時に行える資材です。
草木灰
草や木を燃やした灰で、カリ成分が特に豊富です。
根を強くし、実つきや耐病性を高める効果があり、仕上げの栄養補給として向いています。
昔から「根もの(大根やジャガイモなど)には灰をまけ」と言われるほど、カリは根の成長に欠かせません。
ぜひ入れたい助っ人:「発酵食品」など

米ぬかだけでも自然界の菌で発酵は進みますが、家にある発酵食品の力を借りるとさらにパワーアップします。
納豆やヨーグルトの容器をすすいだ水
容器の内側に残った納豆菌や乳酸菌を、そのまま発酵の助っ人として活用します。
新たに材料を用意する必要がなく、初めての方でも取り入れやすい方法です。
ドライイースト
パン作りなどに使われる乾燥酵母です。
糖分を分解する酵母が含まれており、発酵の立ち上がりを早めます。
少量で効果があり、失敗しにくいのも特徴です。
麹・酒かす
味噌や甘酒、日本酒など、日本の発酵食品づくりに使われる素材です。
麹菌などがデンプンやタンパク質を分解し、微生物が利用しやすい状態に整えてくれます。
安定したぼかし肥料を作りたい場合に向いています。
「えひめAI-2」などの発酵資材
「えひめAI-2」は、愛媛県が公開している、複数の有用微生物を組み合わせた発酵液です。
家庭でも再現しやすく、ぼかし肥料の発酵を安定させたい場合に向いています。
自作している方は、水の代わりに使うことで失敗しにくくなります。
作り方や注意点は、愛媛県の公式資料を参考にすると安心です。
知っておきたい「肥料の三要素」と「チリカハミネ」(タップして開閉できます)

植物が元気に育つために必要な栄養素は、「窒素」「リン酸」「カリ」と大きく分けて3つあります。
この栄養素が、それぞれ野菜の成長において、どの部分に作用するかをわかりやすくまとめた言葉があります。
恵泉女学園大学副学長・藤田智先生が提唱されている、土作りの合言葉「チリカハミネ」です。
これは、肥料の成分と、それが野菜のどこに効くかを分かりやすくまとめた言葉です。
この3つを意識しながら材料をそろえると、野菜のどの部分に効かせたいか「目的別」の「ぼかし肥料」を作ることもできます。
- チ(窒素)→ハ(葉・茎)を育てる
- 茎や葉を大きく茂らせる
- 「魚粉」「出汁がら」など
- リ(リン酸)→ミ(実・花)を育てる
- 花をきれいに咲かせ、実を大きく甘くする
- 「米ぬか」「鶏糞」など
- カ(カリ)→ネ(根)を育てる
- 根を丈夫にし、病害虫や寒さへの抵抗力を高める
- 「もみ殻くん炭」「草木灰」など
ぼかし肥料の作成や土づくりの際、私はこの言葉を念頭に材料を加えています。
その他用意するもの


- 大きめのトレー・バケツなど:材料を混ぜる時にこぼれにくい大きさのもの
- スコップ・お玉など:混ぜた材料を袋に移す時に使用
- 厚手のビニール袋2枚:材料を入れて保管(ジッパー袋でも)
- 保冷バッグ(あると便利):冬場の保温に役立つ
【写真で解説】作り方ステップ
材料を用意
- 米ぬかなどの材料
- 水(ヨーグルトや納豆のパックをすすいだ水分など)
- 材料1kgに対して、水 500cc
- 材料 500gに対して、水 250cc
水分は、一度に全部入れずに様子を見ながら少しずつ足しましょう!

今回は大豆粉など、賞味期限が過ぎたまま冷蔵庫に残っていた粉類も入れました😅
水分以外の材料を混ぜる
トレーやバケツに、米ぬかと資材(コーヒーカスや出し殻)を入れます。
- 粉末が飛ぶことがあるので、注意する
- コーヒーかすを入れると、色で混ざり具合がわかりやすい

水を注いで混ぜる
そこに水を少しずつ回し入れます。
※米ぬか・材料の種類や鮮度によって乾燥具合が異なるため、まずは少なめの水から始め、手触りを確認しながら少しずつ足していくのが失敗しないコツです。


水分量の確認
握ってみて「お団子」になる状態にします。


- 水分が多い場合:握った時に指の間から水がじわりと滲み出る場合は、水が多すぎます。乾いた米ぬかや固形物を足して調整してください。
- 水分が少ない場合:握ってもすぐにボロボロと崩れてお団子にならない場合は、水分が足りません。少しずつ水を足しましょう。


ビニール袋に詰める

空気を抜く(嫌気性発酵)
袋の底に材料を入れ、空気を追い出します。
重要!袋の中に空気が残っていると、カビや腐敗の原因に

密閉する
空気を抜ききったら、袋の口をしっかり縛るかジッパーを閉じます。
さらにその袋をもう一枚の袋に入れて二重にして、ニオイ漏れを防ぎます。


作成日時・材料名などを書いておく
材料を変えて複数作成した場合にも、後でわかるように記載しておくと「あれ、どっち!?」がなくなり便利です。


保冷バッグに入れる(遮光・保温)

直射日光の当たらない場所で「ほったらかし」

ニオイ移り防止に、下に新聞紙などを敷くと良いです。

3日後、材料を複数使った袋にドライイーストを入れ忘れていたことに気づき、バッグを開けました💦
見た目は変わりませんが、すでにお漬物のような良い香りが!このまま続けることにします。
置き場所と期間の目安
作業が終わったら、見守るだけです。ここでは、発酵を進めるための目安をまとめます。
上手くできた場合は、果実酒のような良い香りがします!
置き場所・温度管理のコツ
- 直射日光を避ける
- 室内の方が発酵が早い
- 冬は保冷バッグや毛布で保温
- 夏は高温になりすぎないよう注意
出来上がりの目安(期間・ニオイ・状態)
夏:約1ヶ月
冬:約3ヶ月
- フルーツのような良い香り
- 腐敗臭(生ゴミ臭・ドブ臭)
- 全体の色が濃くなり、茶色っぽくなる
- 白い菌はOK
- 青・黒のカビはNG
ぼかし肥料の使い方
| プランターのサイズ | 土の容量の目安 | ぼかし肥料の量 |
| 標準プランター(65cm) | 約12〜14リットル | 30g 〜 50g(ひとつかみ強) |
| 丸型深め(10号鉢) | 約10リットル | 20g 〜 30g(軽くひとつかみ) |
| 7〜8号スリット鉢 | 約4〜6リットル | 10g 〜 20g(大さじ1〜2) |
ぼかし肥料は「少量ずつ」使うこと がポイントです。材料や作成条件、育てる野菜によっても、必要量が違います。野菜の成長を早めたいと一度にたくさん入れるより、控えめに使う方が失敗しにくくなります。
ここでは、ベランダ菜園でも実践しやすい基本的な使い方をご紹介します。
元肥として使う場合
植え付け前の土づくりに使う方法です。
プランターの土に少量のぼかし肥料を混ぜ込み、軽く湿らせて数日から1週間ほど置いておきます。
あらかじめ土になじませておくことで、微生物の働きが落ち着き、苗を植えたあとも安心して使えます。
植えた直後からも、じわじわと効き始めるため、初期生育を支える元肥として向いています。
追肥として使う場合
生育途中で栄養を補いたいときは、株元から少し離した場所に入れます。
土の表面を軽く掘り、少量のぼかし肥料を入れて土を戻す。表面に直にパラパラとままく方法もあります。
すでに発酵させているぼかし肥料ですが、直接根に触れないようにすることで、さらに肥料焼けを防げます。
水やりと合わせて行うと、土になじみやすくなります。
野菜の葉色や生長を見ながら、必要に応じて少しずつ追加していきましょう。
使うときの注意点
発酵が不十分な場合、ニオイが出たり、土の状態が不安定になることがあります。
その場合は無理に使わず、さらに寝かせて発酵を進めたり、土に混ぜ込んで1ヶ月以上長めにおいてみてください。
ぼかし肥料は、野菜だけでなく土や微生物も一緒に育てる肥料です。
あせらず、じっくりと付き合っていきましょう。
>>この後のよくある質問(Q&A)でも詳しくご紹介しています。
ぜひご参照ください。
他の肥料(化成肥料・堆肥など)と併用する場合
私の感覚では「ぼかし肥料」と「化成肥料」を併用すると、野菜がより安定して育っていると思います。その場合は、それぞれの規定量より少なめからを目安にします。
筆者の実践スタイル
私はリセットした土に、「自家製堆肥」と化成肥料、そしてこの「ぼかし肥料」を混ぜ込んで土作りをしています。微生物の力で土をふかふかにしつつ、足りない栄養を化成肥料で補っています。
追肥はどうする?
ベランダ菜園で気になるのが、追肥の際のニオイです。完成したぼかし肥料を追肥として土の表面にまくこともできますが、ニオイや虫が心配な場合は、「元肥はぼかし肥料・追肥は液体肥料」と使い分けるのもストレスフリーな方法です。
プランター栽培は水やりとともに栄養が流れ出しやすいため、土作りの段階で堆肥やぼかし肥料をしっかり混ぜ込み、必要に応じて化成肥料を併用するのもベランダ菜園ならではのスタイルです!
ぼかし肥料を作る2つの方法:嫌気性と好気性
| 特徴 | 嫌気性発酵(空気を嫌う菌) | 好気性発酵(空気を好む菌) |
| 仕組み | 密閉して空気を遮断する | 空気を入れながら発酵させる |
| 完成期間 | 1ヶ月から3ヶ月(じっくり) | 2週間から4週間(スピーディー) |
| 手間 | 毎日混ぜる手間なし(放置でOK) | 「切り返し(混ぜる)」が必要 |
| ニオイ・虫 | 漏れにくく、虫も寄りにくい | ニオイが出やすく、虫のリスクあり |
| 適した場所 | ベランダ、住宅街 | 広い畑、頻繁に管理できる環境 |
ぼかし肥料作りには、微生物の性質に合わせて「嫌気性(けんきせい)」と「好気性(こうきせい)」の2つの発酵スタイルがあります。
1. 嫌気性発酵(空気を嫌う菌の力)
密閉して空気を遮断し、乳酸菌や酵母菌などの力を借りて発酵させる方法です。
- メリット:毎日混ぜる手間がなく「ほったらかし」でOK。ニオイが漏れず虫も寄りにくい。
- デメリット:完成までに時間がかかる(1〜3ヶ月)。発酵途中に袋が破れたり、開けてしまうと「独特な強いニオイ」が広がることも。
- 適した場所:ベランダ、住宅街、忙しい方のキッチン。
2. 好気性発酵(空気を好む菌の力)
空気を入れながら、空気中の納豆菌などの力も借りて発酵させる方法です。
- メリット:発酵スピードが早く、2〜3週間で完成する。
- デメリット:かき混ぜる「切り返し」が必要。その際などにニオイが出やすく、虫が湧くリスクが高い。
- 適した場所:広い畑、頻繁に管理ができる環境。
結論:ベランダ菜園なら「嫌気性」がベスト
「臭わない」「混ぜない」「場所を取らない」。 この3つの条件を満たしているのが嫌気性発酵です。近隣への配慮が必要なベランダでは、失敗が少なくストレスフリーな方法と言えます。
よくある質問(Q&A)
ぼかし肥料作りに初めて挑戦する時は、ちょっとした変化に「これって大丈夫かな?」と不安になることもあります。ここではつまずきやすいポイントや、気になる疑問をまとめました。
ベランダだとニオイが近所迷惑にならないか心配です。
正しく発酵させれば、嫌なニオイはほとんど出ないので安心してください。
密閉容器や袋を使った嫌気性発酵で作れば、ニオイはかなり抑えられます。
完成時に、フルーツのような甘い香りがしていれば成功です。
もしドブのような不快なニオイがする場合は、水分が多すぎて腐敗している可能性があるため、一度リセットすることをおすすめします。
表面に白いカビのようなものが生えてきました。失敗でしょうか?
それは「良い菌」が元気に働いている証拠なので、大成功です!
この白いふわふわしたものは、土を豊かにしてくれる「糸状菌」という菌です。
森林の落ち葉についているものは「はんぺん」と呼ばれ、わざわざぼかしに入れる方もいるくらいです。
発酵が順調に進んでいるサインですので、そのまま土に混ぜ込んで使ってください。
ただし、黒色や青色のカビは「水分が多すぎ」のサインなので、その場合は注意が必要です。
虫が湧くことはありますか?
袋をしっかり密閉し、穴が開かないように気をつければ大丈夫です。
密閉中、虫は外から入らなければ発生しません。
基本的には外から虫が入らなければ湧くことはありません。
ただし、袋を移動させる時に角を引っ掛けたりして小さな穴が開くと、そこから虫が侵入する原因になります。
時々、袋が破れていないかチェックしてあげましょう。
どれくらい保存できますか?
日の当たらない涼しい場所で、1年ほど保存可能です。
作ってから1年以上経ったものは、もう使えませんか?
使えますが、効果は少しずつ穏やかになります
時間が経つにつれて微生物の活動は落ち着いていきますが、異臭がなければ使用可能です。
最も効果が高いのは数ヶ月以内なので、できるだけ早めに使うのがおすすめです。
筆者からのワンポイントアドバイス
1年以上経って不安な場合は、新しく作るぼかし肥料の「種菌」として少量混ぜてみてください。
残っている菌が、新しい発酵を助けてくれます。
完成したぼかし肥料は、そのままベランダに置いておいても大丈夫?
雨と直射日光を避ければ可能ですが、乾燥させると安心です
完成したばかりの「しっとりした状態」のまま外に置いておくと、気温差で袋の中に結露が生じ、カビや腐敗の原因になることがあります。
長期保存したい場合は、一度ブルーシートなどに広げて数日天日干しし、サラサラの状態にしてから、水分の入らない袋に入れましょう。
ベランダでも安定して保管できます。
…と一般的には言われていますが、ズボラな私は一年以上ベランダの軒下にそのまま放置していました🤣



長期保存でニオイが変わった時は?
香りの変化は、熟成が進んでいるサインのこともあります。
フルーティーな香りから、お漬物のような深い香りに変わることがあります。
また、表面に白い塊ができることがありますが、良い菌の働きによるものなので、ほぐして土に混ぜてください。
- フルーティー・お漬物・ナッツのような香り →水分量や環境によっても変化
- アンモニア臭・ドブ臭 → 水分過多や腐敗の可能性あり
失敗した時の対処法は?
失敗のほとんどは、水分が多すぎたことによる腐敗です。
失敗した時の2つの対処法
- 土の力を借りて処分(おすすめ): プランターの土の中に深く埋め、上から乾いた土を10cm以上被せます。土の微生物が腐敗菌を分解し、数ヶ月で元気な土に還ります。
- 生ゴミとして処分: 使用したくない場合は、自治体のルールに従って出しましょう。袋を二重にするとニオイが漏れにくくなります。ニオイの漏れにくい袋も市販されています。
米ぬか以外に、お肉や魚の残りを混ぜてもいいですか?
ぼかし肥料は粉末状、固形物は堆肥と使い分けるのがおすすめです。
生の肉や魚はニオイや虫の原因になりやく、固形物は分解されにくいため、ぼかし肥料には不向きです。
一方、だしを取った後の鰹節や魚粉などの粉末状のものは、旨味やミネラル補給に役立ちます。
固形の肉や魚は、加熱してから堆肥作りに回すことで、安全に活用できます。
ぼかし肥料:分解の早い「粉末状の魚粉」
堆肥:じっくり分解させる「固形・加熱済みの肉・魚」
>>加熱済みの肉や魚を使った堆肥の作り方は、こちらの記事でも解説していますので、ご参照ください。
おわりに:ベランダで育む循環。自分だけの「ハイブリッド肥料」
ぼかし肥料は、市販の肥料のように野菜へすぐ届く栄養を持ちながら、堆肥のように土を豊かにする働きも備えた肥料です。
野菜の成長と土づくり、その両方を支える「ハイブリッド」な存在は、限られた土を大切に使うベランダ菜園にとって、頼もしい味方になります。
普段は捨ててしまうコーヒーかすや出汁がらなど、暮らしの中から出たものが、形を変えて野菜へとつながっていく。
そんな循環を身近に感じられるのも、ぼかし肥料の魅力です。
一度袋に詰めたら、あとは微生物の活動にまかせて、のんびりと待つだけ。完成までには少し時間がかかりますが、あせらずに見守りましょう。
もし数ヶ月経って不安になっても、さらにじっくり寝かせてあげれば、発酵は自然と進んでいきます。
自作のぼかし肥料ですくすくと育つ野菜たち。
その成長を眺める時間は、きっと心はずむひとときになります。
微生物たちが野菜と土をはぐくむ様子を、ぜひベランダで楽しんでみてください。
【ご購入時の注意点】
・購入時は、販売元、価格、および書籍の形式(紙または電子)をご確認ください。
・Amazonでは、Kindle版(電子書籍)が先に表示される場合や、公式販売以外の出品(中古品・高額転売品など)が混在する場合があります。
・楽天市場では、電子書籍(楽天Kobo版)が検索結果に含まれることがあります。
里山菜園において有機資材の力で育てる土を紹介
土づくりなどを紹介(放送はありません)
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※解約した場合、有効期間終了後はライブラリから利用できなくなります。
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参考文献(2026年1月参照)
肥料の品質の確保等に関する法律(通称「肥料法」)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000127
農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課「肥料制度の解説」(令和4年7月)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/attach/pdf/220706hiryo_setsumei-10.pdf
農林水産省 届出の様式等資料「堆肥を他者に渡す場合は、有償・無償を問わず、届出が必要です!」
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/attach/pdf/index-99.pdf
農林水産省 「インターネットオークションやフリマアプリ又は農産物直売所で肥料を販売される⽅は、必ず販売業者の届出を⾏うなどの手続きをしてください︕」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/180717.html
農林水産省「土壌肥料対策指導指針」(平成19年3月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/sim01.html?utm_source=chatgpt.com
農林水産省「土壌肥料対策指導指針」(平成19年3月)4 ぼかし肥の作り方https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ssisin3.pdf
愛媛県 公式サイト「えひめAI-2の製造方法について」「家庭でつくれる環境浄化微生物」
https://www.pref.ehime.jp/
※本記事のぼかし肥料作りは、これらの情報を踏まえつつ、筆者自身のベランダ菜園での実践経験をもとに構成しています。

