陽ざしを求めて:プランターは「高いところ」へ!季節による席替えで野菜が喜ぶ

ベランダでの野菜やハーブ栽培は、日々の暮らしに彩りを与えてくれる素敵な趣味です。これからベランダ菜園を始めたい方、あるいは「もう少し元気に育てたいな」と感じている方へ、成功のための「コツ」をお届けいたします。

今回は、ベランダでの栽培において意外と見落とされがちな「鉢やプランターを置く場所の高さ」についてお話しいたします。

目次

なぜ「高い位置」が重要なのでしょうか? ~ 十分な光を届けるために

植物が健康に育つためには、太陽の光が欠かせません。光合成によって、植物は自分で栄養を作り出しているからです。しかし、ベランダという空間は、マンションの壁や手すり、周囲の建物によって、お庭のように一日中たっぷりと日が当たるとは限りません。

そこで効果的なのが、鉢やプランターを少し高い位置に置くことです。専用の棚を利用したり、安定した台の上に置いたりすることで、手すりや壁による日差しを遮る影響を減らし、植物に太陽の光が少しでも多く当たるようにすることができます。

これにより、特に光が貴重な寒い時期でも、植物が必要な光を受けやすくなり、元気に育つ助けとなるのです。

季節による調整も大切です ~ 夏の強い日差しへの対応

「高い位置が良い」とお話ししましたが、一年を通して常に高い位置が良いとは限りません。

特に夏暑い季節は、太陽の光が非常に強く、植物にとって負担になることがあります。強すぎる日差しに長時間当たると、

  • 葉が傷んでしまう葉焼け
  • 実の色が悪くなったり、傷んだりする実焼け
  • 土がすぐに乾いてしまい、植物がしおれる水切れ

といった問題が起こりやすくなります。

夏の猛暑期には、植物の種類によっては、日差しの強すぎる時間を避けるために、少し低い位置に移動させたり、遮光ネットなどを利用して適度に光を遮ったりする工夫が必要になります。季節や植物の種類に合わせて、置き場所の高さを調整してあげてください。

夏至と冬至でのベランダ菜園における太陽光の違いは?

夏至(6月21日ごろ)

  • 太陽が一年で最も高い位置(南中高度が高い)を通ります。
  • 光はほぼ真上から差し込むため、ベランダの奥には日光が届きにくく、端の方や柵の近くしか日が当たりません。
  • 南向きベランダの場合でも、夏至には意外と日当たりが悪くなり、特に奥のプランターはほとんど日が当たらないこともあります。
  • 日照時間自体は長いですが、実際にベランダ菜園で植物に当たる直射日光は少なくなる傾向です。

冬至(12月21日ごろ)

  • 太陽が一年で最も低い位置を通るため、斜めから日差しが入ります。
  • 南向きベランダでは、太陽光が奥まで差し込みやすく、ベランダ全体に日が当たりやすくなります。
  • 日照時間は短いですが、ベランダの奥まで太陽光が届くので、冬至の方が日当たりが良く感じることもあります。

夏至と冬至の中間に当たるのが、春分の日と秋分の日

節気名意味・特徴時期(例年)
春分昼夜がほぼ等しい3月20日ごろ
夏至昼が最も長い6月21日ごろ
秋分昼夜がほぼ等しい9月23日ごろ
冬至夜が最も長い12月22日ごろ

プランターの置き方のポイント

  • 夏至の時期は、プランターをできるだけ端や柵の近くに寄せる、高さをつけるなどして日当たりを確保しましょう。
  • 冬至の時期は、ベランダの奥まで日が入るので、植物の配置を広げても光が届きやすいです。

夏至・冬至の日本の風習と食べ物

夏至

  • 全国的な行事や祭りは少ないですが、農作業の繁忙期で「半夏生(はんげしょう)」までに田植えを終える目安とされてきました5
  • 関東・近畿地方では、小麦餅やタコを食べる習慣があります。タコは稲の根が八方にしっかり張るようにという豊作祈願の意味があります5

冬至

  • ゆず湯に入る風習が有名です。これは「湯治(とうじ)」と「融通が利く(ゆず)」の語呂合わせや、香りによる邪気払いが由来とされています。
  • かぼちゃ(なんきん)を食べる習慣もあり、保存性が高く栄養価も豊富なため、冬の健康維持に役立つとされてきました。
  • 「ん」のつく食べ物(なんきん、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん)を食べると縁起が良いとされます。

季節の便りはベランダ菜園・生活にも活躍

夏至は太陽が高く、ベランダの奥まで日が届きにくい。冬至は太陽が低く、ベランダの奥まで日差しが入りやすい。ベランダ菜園ではこの違いを意識して、季節ごとにプランターの位置や高さを調整することが大切です

特に 太陽の位置が南の頂上に近くなる、夏至・冬至の頃には特に 太陽の位置が南の頂上に近くなる、夏至・冬至の頃には、ベランダの床面まで光が届きにくくなります。

逆に太陽の位置が低くなる頃には、ベランダから部屋の窓の方まで日光が届くこともあります。部屋に近い床面や窓辺での育苗など有効に使いましょう。

日本の二十四節気と季節の区分は、古来から農作物を育てる目安にされています。私たちが野菜を育てたり、日常生活を送る上でも密接に関係しています。
とても参考になり、忙しい野菜のお世話からふと立ち止まる良いきっかけにもなります。ぜひ活用していきまたいものです。

安全なベランダ菜園のために ~ 危険防止と避難経路の確保

鉢やプランターを高い位置に設置する際には、何よりも安全への配慮が不可欠です。

  • 落下等・危険防止: 不安定な場所に置くと、風や振動で鉢が落下し、大変危険です。下の階の方や、ベランダの下を通る方に怪我をさせてしまう可能性もあります。必ず、ベランダ用の頑丈で安定した棚を利用するか、しっかりと固定できる場所に置いてください。台風など強い風が予想される際は、棚から下ろしたり、室内に移動させたりする等の対策を必ず行いましょう。
  • 避難経路確保: ベランダは、地震や火災といった緊急時に避難するための経路となることがあります。特に、隣の住戸との間を隔てている隔て板の前や、床にある避難ハッチの上には、避難の妨げになるような物を置かないようにしましょう。高い棚などを設置する際は、これらの避難経路確保を妨げない配置を十分に確認してください。

おわりに

ベランダ菜園を成功させるための第一歩として、「鉢やプランターを置く高さ」が光の確保や季節の対応に繋がることをご紹介しました。また、安全に楽しむための注意点も大変重要です。

植物の成長を助けるための光の量と、安全な設置場所。この二つを考慮して、植物にとって心地よく、私たちにとっても安心できる置き場所を見つけていただけたら幸いです。

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